商標法違反の初犯の方向けの弁護士相談

 本ページをご覧の方は、商標法違反を理由として捜査機関による家宅捜索が入った方、偽ブランド品等を販売してしまい心配になっている方、購入者から商標法違反で訴える等と言われた方等が多いかと思います。また、本ページをご覧いただいている方のほとんどは、これまで刑事事件を起こしたことはないし、警察にお世話になったりしたこともない犯罪歴のない方、いわゆる初犯の方でしょう。これまで犯罪歴のない方(初犯)にとっては、突然、自宅に警察の捜査員がやってきて驚き、そこで初めて、「商標法違反」、「商標法違反 捜索」、「商標法違反 初犯」、「商標法違反 逮捕」等とネット検索をして、今後自分がどうなっていくのかということを把握しようとする方も多いかと思います。

 以下では、自分が商標法違反の刑事事件の被疑者となり、初犯となった場合に、今後どのようなことが起こるのかという点を簡単に説明させていただいた上で、商標法違反の初犯の方の疑問等を弁護士の視点で説明させていただきます。商標法違反で刑事弁護人をお探しの方、商標法違反の刑事事件の相談をご希望の方は、弊所弁護士へお問合せフォーム又はお電話にて、お問合せください。 

商標法違反の初犯

商標法違反の刑事事件の進行の概要

 

 商標法違反の捜査は、税関差止、ブランド会社からの被害申告、偽ブランドと疑われる商品を購入した方からの被害申告、警察による商標法違反の独自の発見などから開始されます。偽ブランドを販売しているようなケースでは、いきなり警察が捜索差押令状をもって自宅に現れることがあり、これで自分が被疑者になっていることを知ります。事案が悪質なケースや逃亡のおそれが高いようなケースでは、逮捕されることもあり得ます。

 その後、任意の取調べで捜査を継続する場合や、逮捕した上で捜査を継続する場合があります。逮捕された場合には、最大23日間の勾留があり、連日取調べが続きます。その上で、最終的に商標法違反で起訴するのか、不起訴又は起訴猶予とするのかが検察官の判断により決定されます。起訴するか否かは、商標法違反の犯行態様、結果、余罪、前科前歴、社会への影響、反省の程度、示談の有無など諸般の事情を総合的判断されます。

 不起訴または起訴猶予となると事件は終了し、一方、起訴には、公判請求と略式命令請求の2種類があり、略式命令請求は罰金刑を求める場合に用いられる簡易な手続であり、この場合、公判は開かれず罰金刑の略式命令が出て、罰金を納付することで終了します。

 商標法違反により正式に起訴されることとなった場合、公開法廷にて裁判を受けることになります。公開法廷では、検察官、弁護士が出席の下、起訴された事実の確認、証拠が提出され、罪を認めている事件であれば、主に弁護士が主導して情状証拠の提出、被告人質問が行われます。また、否認事件では、検察官側や弁護士側双方において証人尋問や物的証拠の提出手続等が行われることになります。その後、検察官意見(求刑)や弁護側意見を述べ、結審し、次の期日において判決が出ます。

 判決では、商標法違反で有罪か無罪はもちろん、商標法違反で有罪の場合には懲役刑か罰金刑か、執行猶予がつくのか実刑となるのかが裁判官によって決定されます。有罪となれば控訴することもできます。判決が確定し、実刑であれば刑務所へ行くことになり、執行猶予付きの判決であれば、ひとまずは刑務所へ行かずにすみますし、執行猶予付きや判決や罰金刑の場合には、控訴しなければ刑が確定し、事件が終了します。

 商標法違反の刑事手続きの概要については、商標法違反の刑事手続と弁護活動をご覧いただければ詳細が記載されております。 

商標法違反の初犯の逮捕可能性

 これまで商標法違反は勿論、他の犯罪も含めて犯したことがない初犯の場合、逮捕されるのか、逮捕されないのか、という点は関心をお持ちかと思います。逮捕は、罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由があることを前提に、逮捕の必要性があるか否かで判断されます。逮捕の必要性は、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがあるか否か等で判断されますので、初犯であっても、前科があっても基本的に変わるところはありません。もちろん、前科がある場合で、たとえば執行猶予中であれば、次に有罪となれば執行猶予が取り消されるようなケースでは、逃亡のおそれが高まる場合もあり得るので、このような場合には逮捕リスクは上がる可能性はあります。

 商標法違反で逮捕されるか否かは、初犯か前科があるかという観点よりも、犯罪の大きさ、被害状況等からみて、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがあるかが重要です。組織的に偽ブランド品を販売して商標法違反を犯しているようなケース、複数人が関与しているケース、長期的に違法状態を継続しているケース、利益額が多額であるようなケース、外国への逃亡が考えられるようなケースでは、商標法違反の疑いで逮捕されることもあります。なお、後述のとおり、商標法違反ではいきなり逮捕という形よりも、捜索が入った後、しばらくしてから逮捕されることが多いのが特徴です。 

商標法違反の初犯者と起訴可能性

 商標法違反の初犯の場合と前科がある場合では、基本的には、起訴される可能性は異なると考えてよいです。すなわち、前科があるほうが起訴されやすく、初犯の場合は前科がある場合よりは起訴される可能性は低いと思われます。特に商標法違反の前科があるようなケースで、再び商標法違反を犯した場合には、起訴の可能性は非常に高まります。他方で、前科があっても、交通系の犯罪前科(たとえばスピード違反)であったり、10年以上前の古い前科のようなケースでは、あまり前科があることは、起訴するか否かにおいて影響はないとも言えます。

 商標法違反の初犯の場合、犯罪の態様が重くないようなケース、被害金額が大きくないケース、深い反省をしているケース、被害弁償をしているケース等では、起訴されず起訴猶予となることもありますし、正式な裁判のための正式起訴ではなく罰金をすぐに支払って終了する略式起訴(最大100万円の罰金)という形で処理されることもあります。他方、初犯であったとしても、多数のブランドの商標権侵害行為を継続しているようなケース、被害金額が大きいようなケース、共同して商標法違反行為を行っているようなケース、組織的な商標法違反行為をしているようなケースでは、正式起訴され、公開法廷での裁判となることも普通にあります。 

商標法違反の初犯の刑罰

 商標法違反の初犯であっても前述のように逮捕されることもありますし、罰金刑しか課すことができない略式起訴ではなく、正式起訴され、最終的に懲役刑が選択されることもあります。たしかに、初犯の方は、前科を有している方と比較すれば、懲役刑であっても執行猶予になる可能性が高く、実刑となる可能性は低いですが、初犯者であれば、実刑にはならないというものではありません。

 初犯であっても、罰金刑でとどまる場合もあれば、懲役刑(執行猶予、実刑)、懲役刑と罰金の両方が課せられることもありますので、決して甘い見通しをたてないようにして、刑罰を軽くするための対応をしなければなりません。 

商標法違反の初犯の方のやるべきこと

商標法違反に限らず刑事事件においては、実刑の有罪となれば刑務所に行かなければならないため、これを避けることがもっとも重要なことです。また、逮捕されてしまうと身体的な自由が一定期間奪われることにもなりますし、結果として、社会生活へ悪影響(解雇される、取引がなくなる等)も及びうるため、このような事態も避けなければなりません。

 特に商標法違反の場合には、逮捕されると一般予防のために実名報道されることが多く、また逮捕後の勾留の期間も延長されることも多く、保釈までの期間も長引けば、社会生活への影響はかなり大きいものとなります。また、執行猶予か実刑か否かの微妙なケースでは、判決が出るまでの間、ずっと不安な状態が続くことになります。

 商標法違反をしていないのであれば当然無罪を争うことになりますが、商標法違反の事実を認めるようなケースでは、逮捕されることを防ぎ、また、刑罰を可能な限り軽くする活動をしなければなりません。刑事事件の弁護活動については、弁護士の専門領域であり、弁護士と共に、また、弁護士があなたに代わって、捜査機関、裁判所との間で司法手続を進めていくことになります。商標法違反は、いわゆる一般的な刑法犯(窃盗や詐欺等)とは異なり経済的な犯罪であることから、通常の犯罪捜査と一部異なるところもあります。

 また、前述のとおり商標法違反では、家宅捜索が先行し、後で逮捕されるというケースが多いため、捜索を受けてから仮に逮捕される場合であってもタイムラグがあるのが特徴です。この時間に商標法違反に詳しい弁護士へ相談すること、また、刑事弁護を依頼することは、逮捕を防ぎ、また、刑罰を軽減する上で重要なことになります。捜索を受けた段階で、刑事事件は既にスタートしており、これが止まることは原則ありません。速やかに弁護士へ相談されることをお勧めします。

 これまで犯罪とは無関係な世界で生活してきた方にとっては、警察による捜索が来た段階でかなりダメージを受け、また不安な気持ちに苛まれていることかと思います。その不安な気持ちを解消するためにも、早期に弁護士へ相談されるとよいと思います。 

お問い合わせ

 弊所では、商標法違反の刑事事件を長年にわたり多数扱ってきた弁護士が、直接ご相談対応し、また、刑事弁護人となり実際に被疑者の権利を守る弁護活動を展開します。商標法違反事件につきましては、「お問い合わせフォーム」から、又は下記お電話までお問い合わせください。