商標権侵害訴訟の審理方法等についての解説

裁判管轄

民事訴訟法のおける裁判管轄は、被告の住所地に所在する裁判所に提訴することが大原則です。また、不法行為の場合には不法行為地、損害賠償を含む場合には、義務履行地である原告の住所地における裁判所にも提訴できます。もっとも、特許事件のような技術専門性の高いものについては、知的財産権部が存在する東京地裁(東日本管轄)、大阪地裁(西日本管轄)が専属管轄とされています。

商標権侵害訴訟については、東京地裁、大阪地裁が専属管轄という縛りはなく、従来どおり、被告住所地、不法行為地、原告住所地(損害賠償する場合)で可能であり、さらに東京地裁(東日本)や大阪地裁(西日本)にも提訴することができます。また、商標権侵害訴訟に限らず、商標に関する事件については、東京や大阪で提訴することも可能です。

審理の進み方

通常の民事訴訟と同様、原告が訴状を提出、被告が答弁書を提出し、第一回弁論が開かれ、その後は暫く弁論準備手続に付され、複数の準備書面が双方から提出され、争点が整理されていくという流れになります。もっとも、知財訴訟の特徴としては、侵害論と損害論という二段階構造の審理を採用しているという特色があります(大阪や東京の場合)。商標権侵害の有無が先に重点的に審理され、裁判所が侵害の心証が得られなかった場合には損害論については触れることなく、弁論が終結し、逆に、侵害の心証が得られた場合には、改めて損害論を議論するという流れになります。商標は前述のように東京や大阪だけでなく地方の裁判所でも提訴でき、そこでは二段階審理を採用していないケースもありますので、そのような場合には損害論も主張立証が必要となります。一般的には侵害論の主張立証を終えた段階で、裁判所から心証が開示され、和解が試みられます。もっとも、心証が必ず開示されるというものではなく、あえて心証を開示せずに和解協議に入るケースもあります。和解が決裂すれば、判決という流れになります。

商標権侵害訴訟で大きな争点になるものとしては、侵害論でいえば、構成要件該当性のうちの商標の類否、商品役務の類否、抗弁として商標的使用、先使用権、権利の濫用、無効の抗弁などがよく争われています。損害論では損害額についてやはり揉めるケースが多いです。

控訴・上告

通常の民事訴訟と同様、控訴人が控訴状や控訴理由書を提出、被告が答弁書や準備書面を提出し、第一回弁論が開かれます。この段階で、一審判決の問題点について双方が主張立証され、また新たな主張がなければ、この段階で弁論は終結ということが多いかと思います。もっとも、時機に遅れていない新たな攻撃防御が提示されたようなケースや一審判決についてさらに議論されるべきとの判断がなされれば、弁論を終結することなく継続することもあります。なお、商標に関する事件は、控訴審は知財高裁が専属管轄ではないため、名古屋や福岡等の高等裁判所に係属するケースもあります。また、知財訴訟において極めて重要な争点を判断するような場合には、知財高裁の大合議事件となるケースもあります。

上告については、上告理由として憲法違反や明らかな法令違反等を必要としますので、なかなか難しいのが現状です。もっとも、憲法違反や明らかな法令違反の上告理由が弱い場合でも上告受理申立も併せて行い、上告審で判断をしてもらうことに試みることはあります。

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