外国で事業を展開しているような場合又は近い将来において予定がある場合、各国で商標取得することが必要となります。商標権は各国ごとに成立し、当該国の法制にしたがってその権利の内容も異なります。したがって、いくら我が国で商標権を持っていたとしても、外国においては行使することはできません。

外国での商標の取得は、保護を求める国がどこなのかによって取得ルートが複数存在します。従前は保護を求める国の特許庁へ直接出願することが多く(所謂パリルート)、各国毎に代理人をたてて登録手続きを行う必要があり費用もかさんでおりました。しかし、平成8年に国際条約であるマドリッド協定議定書(マドリッドプロトコル)に我が国が加入してからは、いわゆる国際出願が可能となり、多数の国へ簡易かつ低額で登録することが可能となりました。

直接出願ルート

各国別に直接出願する場合には、その国の現地代理人を通じて各国特許庁に直接出願をします。その際、パリ同盟国である我が国において既に出願されている場合、パリ優先権を主張することはできます。この場合、現地代理人を介して行いますので、指定商品の選定等、各国毎にきめ細かな対応ができるというメリットがあります。また、後述するマドリッド協定議定書に加盟していない主要国はまだかなりの数がありますので、未加盟の国に対しては直接出願せざるを得ないというのが現状です。この直接出願という方法は、出願の対象国が多くなればなるほど、多額の費用がかかります。なお、出願対象国にEU加盟国が多い場合には、CTM出願(欧州共同体商標出願)という制度を利用することもあります。CTM出願は、保護を求める国を指定する必要はなく、共同体構成国のすべてに自動的に出願されたことになるという制度です。

マドプロルート

マドリッドプロトコルに基づく国際登録出願(「マドプロ出願」)は、我が国における出願又は登録を基礎として、保護を求める締約国、すなわち登録を求める国を指定し、日本の特許庁を通じて、国際事務局(WIPO)に国際登録出願を行うというもので、近年多く用いられています。こちらの制度を利用した場合でもパリ優先権は主張可能です。マドプロ出願は、各国の特許庁に個別に出願する必要はなく、国際事務局に願書を提出すれば良いものです。一定期間内に拒絶の通報がなされなかった場合には、当該指定国においてそのまま登録されるため、現地代理人費用が不要となり、費用が安価で済むというメリットがあります。その他、更新や名義変更等の多くの手続についても各国毎にする必要はなく、国際事務局に対して行えば済むため手続が複雑でなく一元管理ができるというメリットがあります。もっとも、基礎出願又は基礎登録が拒絶等となった場合には、国際登録も取り消されてしまうというデメリットもあります。我が国では識別機能があまり強くなく拒絶される可能性のあるような商標の場合、マドプロ出願をした後、基礎出願である我が国の商標が拒絶されてしまうと、国際出願に影響を与えてしまうこととなります。また、未だに主要国において加盟していない国があります。